メンズのファッションアイテムとしてだけでなく、レディースのファッションアイテムとしても多くのブランドが展開しているワークパンツ。
今回は、ワークウェアの中でもワークパンツに焦点を充てて、その歴史について書いてみようと思います。デニムの歴史ではなく、あくまでもワークパンツです。
今回のテーマで、トピックスのある時代的な流れは下記のようになります。
産業革命によるワークウェア需要の高まり
ワークパンツの歴史は、産業革命と共に始まります。
産業革命が始まると、労働者は従来よりも危険な環境で働くことになりました。そのため、これまでよりも丈夫で耐久性のあるワークウェアが求められました。
一説では、ダックキャンバス素材のワークウェアが広まり始めたのがこの頃だったとも言われています。
ダックキャンバス素材は、非常に耐久性があり、厚手で丈夫な織物です。
▼構造
・平織りの生地で、綿またはリネンで作られています
・緊密に織られているため、高い強度と耐久性があります
▼特徴
・重さは通常8オンスから24オンス
・優れた耐摩耗性と耐久性を持ちます
▼現代の用途
労働作業着、アウトドアウェア、テント、バックパック、トートバッグ、インテリア用品など
因みに、産業革命前は手織り機で織物生産を行っていましたが、1785年に初めて力織機(りきしょっき)が誕生します。
力織機が登場したことで織物生産は手織り機から力織機へと移行し、産業革命を主導したとも言われています。
力織機が登場したことで、手織り機では実現出来なかった
丈夫で耐久性のあるワークウェアが作れるようになったのね
ゴールドラッシュによる作業着需要の高まりとジーンズの誕生
1849年、カリフォルニアのゴールドラッシュの影響で、労働者の作業着需要が高まりました。
この頃の鉱夫の悩みが、作業着のパンツがすぐに掏り切れてしまうことでした。多くの鉱夫は労働環境に耐えられるパンツを求めていたのです。
1853年、リーバイ・ストラウスがキャンバス素材を用いて鉱山労働者用の作業着パンツを製作及び販売しました。
そして1873年、リーバイ・ストラウスと仕立て屋のジェイコブ・デイビスは、デニムのワークパンツに銅製リベットを取り入れ、特許を取得しました。
これが「ジーンズ」の誕生とされています。
1920年代には、様々な職種の労働者にジーンズが広まっていきました。
様々な職種に広まった理由は以下の通りです。
- 耐久性:デニム生地で作られていることで、非常に丈夫で耐久性があり、理想的な作業着として愛された
- 実用性:特許を取得したリベットを用いて補強されたポケットは、鉱山労働者だけでなく農業労働者にも作業道具を安全に収納できると好評を得ました
- 価格の低下:1920年代にジーンズの生産量が増加し、価格が下がったため、多くの人々が手に入れやすくなりました
- マーケティング:リーバイス社などが、ジーンズを効果的に宣伝しました。これにより、労働者層に広く知られるようになりました
- 文化的影響:アメリカ西部のカウボーイ文化の影響で、頑丈な労働着としてだけでなく、スタイルとしても認知されるようになりました
幾つもの要因が重なって広まっていったのね
戦争とカーゴパンツ ~M-51誕生による飛躍的な進化~
もともと貨物船や港で働く作業者たちのワークウェアだったカーゴパンツ。
太平洋戦争中の1942年に、アメリカ軍の兵士たちが使うために改良/設計され、広く普及することとなりました。
1951年にアメリカ陸軍で採用されたM-51というモデルが誕生します。
M-51の誕生により、ほぼほぼ現在のカーゴパンツの形になったと言われています。
▼デザイン
・ゆったりとしたシルエットで、動きやすさを重視
・大きなカーゴポケットが両サイドにあり、収納力が高い
・裾にドローコードがあり、パンツの裾を絞ることが可能
▼素材
・コットンサテン生地: この生地は平織りで非常に耐久性が高く丈夫です
・リップストップ生地: 一部のバリエーションではリップストップ生地が使用されていて、引き裂きに対する耐性が強化されています
・ナイロン混紡素材: 一部のモデルでは、コットンとナイロンの混紡素材が使用されていて、軽量でありながら高い耐久性を実現しています
▼用途
・アメリカ陸軍の兵士が寒冷地や厳しい環境での作戦で使用されました
・防風性と保温性を高めるための設計が施されています
確かに現代のカーゴパンツの特徴が網羅されているね
ワークウェアとカルチャーの密接な関係
1980年代頃から、ワークウェアは作業着としてだけではなく、様々なカルチャーと密接な関係を持ち始めます。
その代表格的な例が、HIP HOPレーベルのTommy BoyとCarharttです。
Tommy Boyは、Carharttのジャケットを大量購入し、自らのレーベルのロゴとストリートブランドSTUSSYのロゴを刺繍して売り出し、人気アイテムとなりました。
CarharttがHIP HOPシーンやストリートカルチャーに浸透していった背景には様々な理由があると思います。Carharttは140年以上の歴史あるブランドです。
Levi’sが労働者向けのワークパンツを製作/販売し始めたのが1850年代のこと。Carharttは1830年代からワークウェアの製作/販売を行っていたと言われています。
Levi’sよりCarharttの方が歴史が古かったんだね
機能性/耐久性のあるCarharttのワークウェアは、長く労働階級の生活を送っていた人々にとって、とても馴染みのある衣服だったのではないでしょうか。
そうした日常生活とHIP HOPカルチャーが密接に結び付き、ストリートカルチャーへと浸透し、広まっていったように思います。
当時、最も人気だったCarharttのアイテムの1つがダブルニーパンツ(Double Knee Pant)です。
もともと労働者用のワークパンツで、作業中に膝をつくことが多い労働者のために、腿から脛まで生地を2枚重ねることで、耐久性を実現したワークパンツ。
それが、このダブルニーパンツです。
ワイドシルエットのダブルニーパンツは、HIP HOPシーンのみならず、ストリートでも人気となり現代でも人気のアイテムとなりました。
まとめ
今回の内容をまとめると、このようになります。
ワークパンツは汎用性が高いファッションアイテム!
時代に合わせて改良されてきたワークパンツ。
現代では様々な素材やテクノロジーが組み込まれ、快適性や耐久性が向上しています。
因みに、WEAR TUNESのワークパンツは、ワークウェアの1種であるシェフパンツを題材として用いています。
所謂ワークパンツと同様に、作業着として着用されているシェフパンツ。
一般的なワークパンツに比べると、ワタリ幅(太股の部分)がゆったりしているので、しゃがむ際に膝が引っ掛かるようなストレスを感じることがありません。
古き良き時代の雰囲気を取り入れながら、現代のファッションとスタイリングし易くアレンジしています。
素材や縫製にも拘り、実用的且つ汎用性のあるアイテムなので、是非オンラインショップでご確認ください。
いつの時代も、生活様式と共に衣服は変化/進化していくのですね。
それでは◎
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